青森県でも加熱式タバコ戦争が本格化「世界禁煙デー2018記念フォーラム in 青森」報告 | 青森県タバコ問題懇談会BLOG

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青森県でも加熱式タバコ戦争が本格化
  世界禁煙デー2018記念フォーラム in 青森
     青森県タバコ問題懇談会代表世話人 久芳康朗

 本稿の締切直前に、受動喫煙対策を定めた健康増進法改正案が衆議院を通過し、会期延長により成立が確実となった。この法案は自民党タバコ族議員により骨抜きにされ、既存店の過半数である100㎡以下の飲食店で喫煙が許される、文字通りのザル法と言える。(早急な見直しを求める付帯決議も可決)

 一方、従業員のいる飲食店での原則禁煙を定めた東京都の受動喫煙防止条例も成立が確実な情勢だが、加熱式タバコ(アイコス、グロー、プルームテック)については専用室を設ければ飲食しながら喫煙できるよう変更された。ここに、生き残りをかけたタバコ産業側の大きな力が働いたことは間違いない。

 6月3日に青森市で開催された標記のフォーラムでも、受動喫煙と加熱式タバコという2つの問題が焦点となった。国立がん研究センターたばこ政策支援部主任研究員の吉見逸郎氏による特別講演において、WHOによる7項目の評価のうち、受動喫煙防止対策、広告・後援の禁止など3項目がレベル4(最低)にあり、政府案が成立してもレベル3にとどまることや、加熱式タバコもニコチンの量はさほど変わらず、有害物質も含まれていることから、予防原則に従って規制すべきことなどが詳細に説明された。働き盛り世代に対して、企業の健康経営(青森県の対策も含む)や、メタボ健診、タバコ税増税の機会などを利用して、禁煙へのインセンティブを強める働きかけの重要性が強調された。

 ここ数年、官民の協働により県内で最も対策が進んできている弘前市の山内恒氏から、原則として分煙を認めないことを盛り込んだタバコの健康被害防止対策の指針および行動計画、受動喫煙防止対策マニュアルについて紹介されたが、その内容について市民への周知が進んでいない点が課題とされた。

 当懇談会で2008年より継続している自治体調査において、14年に全市町村で小中学校が敷地内禁煙となり、15年より私立高校・高専・大学の調査も開始した。当初、私立高校の敷地内禁煙化率は5割に達しなかったが、18年は大学・私立高校とも82%で、私立高校は改善のペースが鈍く、大学も昨年から停滞している。なお、今回より加熱式タバコも規制に含まれることを調査票に明記した。県と産科・小児科医による妊婦・家族の禁煙見守り事業も含めて筆者から報告した。

 上記の政府案では小中高校の敷地内(建物外)での喫煙が許され、東京都案でも大学は建物内禁煙までとなっている。この点では、青森県は法律や条例よりも進んでおり、対策を後退させる圧力とならないか危惧される。

 

 フォーラムの翌日にプルームテックが県内でも販売開始となった。国の法律を上回る規制が期待できない青森県において、加熱式タバコが喫煙動向にどう影響してくるか、この1年が勝負の分かれ目となるだろう。(個人的には脱タバコの流れを加速させるものと推測している)

 


青森駅前公園における街頭活動。後列右端が吉見先生、3人目は盛岡の小西先生、「あぷたん」の右側が筆者。

(青森県保険医新聞掲載予定)